アジア側からヨーロッパ側新市街を望む
イスティクラル通り
ガラタ橋名物「サバサンド」船
焼き栗ととうもろこしの屋台
タクシム近くの正教会
日本でも報道されたように、トルコでは2015年から2016年にかけてさまざまな事件が勃発しました。ISやPKK(クルディスタン労働者党)によるテ
ロ、軍の一部によるクーデターなどは記憶に新しいところです。これらの事件にともなって、社会情勢も大きく変化し始めています。シリア難民の問題も解決に
は程遠い状態と言えるでしょう。
16年10月末の外務省渡航安全情報によると、トルコはレベル4の退避勧告(シリアとの国境地帯、イラクとの一部国境地帯)、レベル3の渡航中止勧告(南
東部ディヤルバクルとイラクとの国境地帯)、レベル2の不要不急の渡航中止(南東部7県)、レベル1の注意喚起(イスタンブール、アンカラ他東部11県、
南東部3県)と、すべてのレベルが出揃っています。
こう聞くとトルコ全体がどこも危険なように感じられますが、もちろんそんなことはありません。実際にイスタンブールの街を歩いてみると、いつもと変わりな
い光景に出会います。
タクシム広場近くのホテル街
たまに行っていた中華料理屋も閉店
アジア側ウスキュダルのバザール入口
乾物屋
魚屋
菓子屋
ただし、この一年で街は急速に変わりました。数年
前から毎年イスタンブールを訪れていますが、こんなに大きく変わったのは初めてではないでしょうか。郊外のタワービルや街中の建設ラッシュ、歴史的建造物
の大掛かりな修復、交通手段の変化等々。すっかりお上りさんの気分です。
たとえばタクシム広場の地下にあるメトロやケーブルに乗ろうとすると、降り口が今までとまったく違う場所にあってうろうろしてしまいます。トラムの新市街
側出発点カバタシュには港があり、アジア側やマルマラ海の島々、ブルサなどに向かう船がたくさん出ていましたが、港ごと全部なくなりました。港周辺にあっ
た海峡沿いを散歩できる歩道や公園も、トタンに囲まれて改修工事中。
こういった変更はあまり告知されていないらしく、地元の人たちもあちこちで戸惑っている姿を目にします。人の流れが大きく変わったのにそれをフォローする
代替交通網が追いつかないため、今までスムーズだった移動がかなり不便になった印象を受けました。
一方でインフラ整備も猛烈な速さで進みつつあります。イスタンブールの舗道は敷石がはずれていたり陥没していたりでたいそう歩きにくいのですが、今回は意
外とあちこちで足元がしっかりしていることに気がつきました。わたしが滞在するアパートの前には「10の小路のアスファルト舗装が完成しました。5000
トンのアスファルトをつぎ込みました」という区の横断幕がかかっています。こういうことを横断幕にするのがトルコらしいところ、歩きやすくなったのは歓迎
すべきことです。
観光客の大幅減によるダメージは、タクシム周辺のホテル街に顕著に現れています。ホテルや土産物店、レストランなどが軒並み閉店して、がらんとしている通
りもありました。一流のベリーダンスを見せることで有名だったナイトクラブ「ケルバンサライ」も閉店してしまったそうです。イスタンブール一番の繁華街、
イスティクラル通りも修理中の足場がかかっていたりシャッターが閉まっている店が目につき、相変わらず人通りは多いとはいえ少し様子が変わってきていま
す。
観光客が減って唯一好ましいのは、旧市街スルタンアフメット・ジャーミー周辺にたむろしていた客引きがいなくなって、外国人が歩いていてもしつこく引き留
められることがなくなったことかもしれません。〈2016.11.09.〉