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フズリさんの部屋 Fuzuli’nin Odası その2



  「カフェ・ボスポラス」発・地中海クルーズと遺跡ツアー  


地中海

2011年9月、「カフェ・ボスポラス」で企画したトルコ周遊ツアーが催行されました。これはお客さまから依頼を受け、フズリさんがお客さまと一緒にコー スを考えた11泊13日の完全プライベート・ツアーです。イスタンブールからエーゲ海、地中海地方を回ります。現地を案内してくれるのは、もちろんフズリ さん。おおまかなスケジュールは以下の通りです。地図には詳細なルートも記載してありますので、拡大してご覧ください。


より大きな地図で 「カフェ・ボスポラス」発ツアーコース を表示

1日目:イスタンブール・アタテュルク国際空港着。イ スタンブール泊。
2日目:イスタンブール市内観光、トプカプ宮殿、ア ヤソフィア博物館など。イスタンブール泊。
3日目:イスタンブール市内観光、ボスポラス海峡ク ルーズ、バザールなど。イスタンブール泊。
4日目:フェリーと鉄道でイズミール、ワゴン車で古 い町並みが残るシリンジェ村へ。
            村のペンション泊。
5日目:エフェソス観光後、ワゴン車でエーゲ海のリ ゾート地ボドルムへ。ボドルム泊。
6日目:渓谷歩きや遺跡を楽しみながらウチャウズへ。 ボートでカレ村(シメナ)到着。
            ペンション泊。
7日目:ケコヴァで終日ボート・クルーズ。地中海 で遊泳や釣りを満喫。カレ村のペンション泊。
8日目:ワゴン車で遺跡を見学しながらアンタルヤ へ。アンタルヤ泊。
9日目:アンタルヤのリゾートホテルでゴルフ、ビーチ やプールでリラックス。アンタルヤ泊。
10日目:長距離バスでアンタルヤからカッパドキア へ。カッパドキア泊。
11日目:早朝気球ツアー。終日カッパドキア観光。カッ パドキア泊。
12日目:航空機でイスタンブールへ。トランジット後市 内観光。成田へ。

Aさまご一行は古くからのご友人同士で7名さまのご参加です。トルコは初めての方がほとんどですが、通常のパッケージツアーではないまったくオリジナルな プランをご希望でした。しかもなるべく現地の人たちの生活に触れ、のんびり道草をしながら自由に歩いてトルコをまるごと肌で感じてみたいということです。
Aさまのご希望を受け、専用ワゴン車を併用しながら鉄道やフェリーで移動、地元の人たちが通う食堂で食事、ペンションに泊まったり、渓谷歩きやゴルフ、貸 し切りボートで終日地中海クルーズを楽しんだり。行く先々で予定変更追加事項たくさんというオーダーメイドのツアーとなりました。


エーゲ海

ここで「カフェ・ボスポラス」発のモデル・ツアーとして、そのときの様子をご紹介いたしましょう。各地の見学ポイントについては、それぞれの地方の項目で 詳細をお伝えすることにします。
このツアーのとき管理人はちょうどイスタンブール滞在中でしたが、Aさまのご厚意によって現地飛び入り参加をお許しいただきました。深く感謝申しあげま す。また、今回のツアーをサイトで紹介するにあたり、ご参加のみなさまから承諾をいただいております。どうもありがとうございました。 〈2012.3.3.〉


  1日目:イスタンブール着・イスタンブール泊  


夕暮れのイスタンブール


トルコ名物ドネル・ケバブ

午後6時過ぎアタテュルク国際空港着。空港でフズリさんがAさまご一行をお迎えした後、ワゴン車で新市街のホテルへ。途中で、金閣湾にかかるアタテュルク 橋の上からイスタンブールの街の様子を眺めます。
タクシム広場近くのホテルにチェックインしてから、イスティクラル通りへみなさんと散歩に出ました。にぎやかな通りにはトルコ名物伸びるアイスクリーム 「ドンドルマ」のお店もたくさん出ています。さっそくお味見なさる方も。地元で評判の食堂で軽食を摂りながら、明日からの日程について打ち合わせです。 〈2012.3.3.〉


   2日目:イスタンブール市内観光・イスタンブール泊  


スルタン・アフメット・ジャー ミー


トプカプ宮殿


こんな感じでアクビル活用

朝ホテルのロビーで集合、ケーブルとトラムを使って旧市街のスル タン・アフメット・ジャーミーに行きます。市内は渋滞がひどいので、観光には車を使わない 方が便利です。公共の乗り物は「アクビル」というチャージ式のチケットを使うと、いちいち小銭を用意する必要がありません。バスや連絡船、近郊列車にも使 えます。ケーブルからトラムなど、一時間以内に乗り換える場合は料金が割引になるという利点も。何人でも同時に使えるので、グループで移動する時にはアク ビルひとつあれば大丈夫です。


宮殿内


カフェテラスから海峡が


コーヒー占い(?)をするフズ リさん

まずはトプカプ宮殿Topkapı Sarayı Müzesi見学。ここのハレムはいつも混んでいて入場するのに並ばないといけませんが、早い時間だと待つこともなくスムーズに入れます。見学途中眺めの いいカフェテラスでお茶を飲んでひと休み。ここからマルマラ海と海峡が見えます。フズリさんがお茶を飲みながらコーヒー占いを始めました。これはカップの 底に沈んだコーヒーの粉の模様を見て、その人の将来を占うものです。当たるかどうかはわかりません。
その後アヤソフィア博物館、地下宮殿を見学。お昼は「ココ レッチなるものを食してみたい」というご要望にしたがい、グランド・バザール近くのココレッチ屋 で昼食となりました。ココレッチは羊の臓物を炭火で焼いて刻み、パンにはさんで食べるというトルコのファスト・フード。スパイスをたっぷり使った通好みの 味です。
グランド・バザールKapalı Çarşıを散策した後、オスマントルコ軍の軍楽隊を聞きに新市街にある軍事博物館Askeri Müzesiへ。ここでは毎日軍楽隊の演奏会が行われています。陽気のいいときは屋外でコンサートがあり、涼しい木陰に腰を下ろして迫力ある演奏を楽しめ ます。


アヤソフィア博物館


ココレッチ屋の店先


当時の扮装で演奏する軍楽隊

ひとしきり演奏を聞いてから、メトロに乗って高層ビルが林立する新市街北部へ。2011年春にできたばかりの高層ビル、「イスタンブール・サフィレ İstanbul Sapphire」の屋上には展望台があり、イスタンブールの景色を360度眺められます。この商業ビルは地上54階、地下10階という大規模なもので、 展望台の高さは238メートル。建物が高台に建てられているため、海抜でいうともっと高い場所から見ることになります。このときはよく晴れていて黒海の方 まで見えました。
展望台にある最新の3Dアトラクションは、ヘリコプターに乗って市内のメジャーな観光地を巡るという設定で、非常にリアルな映像が楽しめます。今日見てき たばかりのトプカプ宮殿やアヤソフィアなどをバーチャル体験してみました。


展望台から


パサージュ内のレストラン

夕食はイスティクラル通りにある居酒屋へ繰り出します。歴史的建造物チチェッキ・パサージュÇiçek Pasajıのなかにあるお店は雰囲気抜群。立派なレストランの構えですが、お値段は庶民的です。お料理もバリエーション豊かでグレードが高く、お好みの 前菜や魚料理などを注文しておいしくいただきました。
お店の外には果物を売る屋台が並び、ベリーやプラム、ぶどうなどどれもみずみずしく輝いています。食後のデザートに数種類購入、お店の方で水洗いしてテー ブルに出してもらいました。日本では居酒屋に持ち込みなどなかなかできませんが、トルコではかなり自由です。〈2012.3.3.〉


  3日目:イスタンブール市内観光・イスタンブール泊  
 

エジプシャン・バザール


お菓子やドライフルーツを物色 中


霊廟


ボスポラス海峡


ルーメリ・ヒサール

朝ホテルで集合、今日は一般連絡船でボスポラス海峡クルーズです。ケーブルとトラムで少し早めにエミノニュEminönüの桟橋へ行きます。桟橋近くのエ ジプシャン・バザールMısır Çarşısıを散策、バザールの脇にあるスルタンの霊廟を見学して、10時35分発の船に乗ります。
ドルマバフチェ宮殿Dolmabahçe Sarayı、オルタキョイ・ジャーミーOrtaköy Camii、ボスポラス大橋Boĝaziçi Köprüsü、ルーメリ・ヒサールRumeli Hisarなどを海上から眺めます。アジア側には美しい木造建築が連なっています。
今日はこのまま終点まで行き、漁村のシーフードレストランで昼食を摂った後また連絡船で夕方戻る予定でしたが、もう少し旧市街を見学したいというご要望が ありました。フズリさんはすぐにワゴン車を手配し、わたしたちは終点より手前のサルエリSarıyerで下船することに。港にはすでにワゴン車が待機して いて、それに乗り込んで旧市街へ戻ります。


オリエント・エクスプレス


シルケジ駅構内の歴史的レスト ラン


考古学博物館


キョフテ

ヨーロッパ大陸の鉄道駅としては終点(あるいは始発)になるシルケジ駅Sirkeci Garıで、由緒あるオリエント・エクスプレス・レストランを見学。何とこのとき、駅のホームには本物のオリエント・エクスプレスが停車していました。深 い紺色に金文字の入った車体が美しく、思わず興奮。ポーターの制服姿もりりしくて素敵です。夏の観光シーズンには月に一回程度運行して、イスタンブールま でやって来るとか。
トプカプ宮殿脇のイスタンブール考古学博物館を見学。 アレキサンダーの石棺やリキア時代の発掘品などを見て、近くのキョフテ屋で昼食です。キョフテはトル コ式肉団子。この店は旧市街でも有名な店でいつも混んでいます。スルタン・アフメット・ジャーミーやヒポドロームAt Meydanıを見学して、昨日下見をしたグランドバザールでお買い物。夕方ホテルに戻ってちょっとひと休み。


ヒポドロームのオベリスク


スルタン・アフメット・ ジャーミー


グランドバザール


お土産が増えていきます


前菜一人前

夜はホテルに近いクラブで、ベリーダンスや民族舞踊のディナーショウ。フズリさんによると、このクラブのダンサーはおそらくイスタンブールで一番の実力と いうことです。お料理は前菜とスープ、メイン、デザートがそれぞれ数種類あるなかから選べます。味が洗練されている上、ボリュームもたっぷり。とても食べ きれません。魅惑的なダンスにうっとりして胸がいっぱい?〈2012.3.3.〉


   4日目:イスタンブールから船、列車、ワゴン車でシリンジェ村・シリンジェ泊  
 

イェニ・カプ港


フェリー客席


「ボレッキ」というチーズパイ


バンドゥルマの町

今日から周遊ツアーに出発です。朝の6時にホテルをチェックアウト、チャーターしたワゴン車に荷物を積み込んで、フェリーが発着するイェニ・カプ Yenikapı港に向かいます。途中の道も空いているのでちょっとガラタ橋に寄り道をして、まだ明け切らないイスタンブール旧市街を眺め、それから港で 車ごとフェリーに乗り込みます。
7時出港。マルマラ海を横断して8時45分にバンドゥルマBandırmaに着くまで、広々とした客室でのんびり過ごします。客席は全席指定。大型船なの で乗り心地は快適です。船内にはカフェテリアがいくつかあり、朝食はここでサンドイッチや温かい塩味チーズパイ、フレッシュなオレンジジュースなど。ラウ ンジで知り合ったトルコ人ご夫婦や少し日本語が話せるカフェのお兄さんとおしゃべりをするうちに、ほどなくバンドゥルマに到着です。


こんな魚屋がたくさん


買い出し部隊


この列車に乗ります


列車内はとてもきれい


停車中

港のすぐ隣に国鉄の駅があり、ここから列車でイズミールİzmirをめざします。荷物を積んだワゴン車はそのまま一足先にイズミールへ行き、イズミール駅 で合流する予定です。大きなスーツケースを持って移動しなくてすむし、列車内で盗難の心配もありません。
しかしその前に食料の買い出しをしなくては。バンドゥルマを9時45分に出発してイズミール到着は午後2時半です。列車にワゴンサービスはあるけれど、食 堂車はありません。駅の近くにある商店街でチーズやソーセージの入ったパンや果物など、あれこれ買い物です。フズリさんはどこかで缶ビールまで調達してき ました。何だか温泉列車に乗り込むみたい。
指定席に落ち着き、列車が動き出します。1時間しか乗り換え時間はありませんでしたが、身軽に移動できたので急ぐこともなくスムーズでした。お天気はいい し、車内はエアコンもきいて涼しく快適。緑豊かな窓の景色をゆっくり楽しめます。線路は途中から単線になり、列車がすれ違うために小さな駅で待つこともし ばしば。到着時刻に変更があり、イズミールには午後4時過ぎに着くことになるそうです。ちょっとのんびりしすぎかも?
すかさずフズリさんはイズミールで合流予定のワゴン車を呼び寄せ、わたしたちはアクヒサールAkhisarという駅で途中下車してワゴン車に乗り換えるこ とになりました。列車を降りると運転手のオスマンさんはすでに駅前で待機しています。やはりトルコは鉄道より道路網が発達しているということを実感できま した。この後はアンタルヤまでずっとワゴン車で移動です。オスマンさんはいつもにこにこ「気は優しくて力持ち」。フズリさんは彼に運転手として絶大の信頼 を置いています。


一軒家のハマム


中もいい雰囲気です


オリーブの木に囲まれた中庭

ツアー中どこかでハマムに入ってみたいというご希望があったので、ワゴン車に乗り換えたのを機に急遽クシャダスKuşadasıのハマムに行くことになり ました。クシャダスは今日宿泊する予定のシリンジェŞirinceより先にあるエーゲ海沿いのリゾート地です。イズミール市街を通らない分時間に余裕がで きたので、ちょっと足を伸ばすことができました。長旅の疲れをハマムで癒すのも名案。
このハマム、幹線沿いの畑の真ん中にぽつねんと建っていますが、なかなか設備がよく、何よりもたいへん清潔です。とかく観光客向けだと手抜きが多い垢すり サービスも満足できるものでした。庭には絨毯を敷いたお座敷もあり、オリーブの木陰でお茶を飲んだりお昼寝も楽しめます。


シリンジェの町並み


ここから好きな前菜を選びま す


にぎやかな村のパーティ

汗を流してさっぱりしたあと、シリンジェ村へ向かいます。ここは古い町並みが残っているひなびた村で、最近エフェソス観光の拠点として人気が出てきたとこ ろです。村を一望の下に見渡せる高台のレストランに入り、松の木の下で暮れゆく景色を眺めながら夕食にします。クルジェットの花のドルマ(詰め物)やオー ブンで焼いたキョフテ、中華鍋に似た取手付き鍋で肉を炒めたサチ・カヴルマなど、伝統的なお料理が並びます。シリンジェはワインの産地なので、もちろんお いしい地ワインも。帰りはお土産にワインを買っていきましょう。

この村には大きいホテルはありません。今夜はペンションに泊まります。白壁に木枠の窓が田舎家らしい家庭的なペンションですが、何やら外ではスピーカーの 大音量で音楽が鳴り響いています。どうやら村で結婚式があったとか。広場に出てみると、どこから湧いてきたのかと思うほどのひとが集まり、一大ダンスパー ティの真っ最中。みんな楽しそうですが、この騒ぎが夜中の1時過ぎまで続いてなかなか眠れませんでした。〈2012.3.3.〉


  5日目:シリンジェからエフェソス観光後、ボドルムへ・ボドルム泊  
 

緑いっぱいのペンション


地元のチーズや自家製ジャムが おいしい朝食


フズリさんと運転手のオスマン さん


村のお店

ペンションで朝食後、少し村を散歩します。ほんとうに素朴な小さな村で、レースで縁取りをしたタオルやスカーフ、地元の果物を使ったジャム、蜂蜜、乾燥 ハーブなどを売るお店が並んでいます。大きな観光地のように、外国人と見て値段をつり上げたりするようなことはありません。というよりも、そもそも何でも 安くて値段交渉の必要もないくらいです。各地の物価を知っているフズリさんも「安い〜」とびっくり。


考古学博物館「休息する兵士」 の前で


カフェで休憩


ケルスス図書館


遺跡解説

村からエフェソスEfesまでは車で20分足らず。エ フェソス考古学博物館でアルテミス像などの出土品を見学します。博物館前のカフェテラスで一休みして からエフェソス遺跡へ移動。その前に途中の高台で車を停め、 遺跡の遠景を眺めます。丘の中腹に作られた野外劇場がよく見えました。
観光シーズンということもあって、遺跡内はかなり混んでいます。ハドリアヌス神殿やケルスス図書館、町の通りなど、どこも観光客で一杯。ここではぐれて迷 子になったのはわたしです。ご心配をおかけして申しわけありませんでした。だんだん気温も高くなってきます。この地方の夏は日射しが強くて暑く、炎天下で は40度を越すこともたびたびです。さえぎるものがない遺跡見学はちょっとたいへん。


焼き鳥みたいな仔羊の串焼き 「チョップ・シシ」


チャイハーネで「オケイ」と いうゲームに興じる人々


ゆったりしたワゴン車で移動 します

市内のレストランで昼食を摂った後、次の目的地ボドルムBodrumまで約200キロのドライブです。ワゴン車には小さな冷蔵庫がついていて、常時冷たい 飲み物が入っています。フズリさんがウェットティッシュやコロンヤを用意してくれたので、道中いつでもリフレッシュ。コロンヤはアルコール度の高いオーデ コロンのようなもので、レモンやラベンダーなどの香りつきです。トルコでは消毒代わりによく使われます。夏の暑いときに肌につけるとさわやかでいい気持 ち。途中でアウトレットのお店をのぞいてみたり、地元のひとたちが集まるチャイハーネ(喫茶店)でお茶を飲んだりしながら、夕方にはボドルムに到着です。


ボドルムの港


城塞


海辺のレストラン


レモンたっぷり魚のフライ

ボドルムはエーゲ海の高級リゾート地で、夏になるとたいへんなにぎわいを見せます。青い空と海、家々の白い壁が印象的です。海に突き出したボドルム城塞 Bodrum Kalesiを見学してホテルにチェックイン。シャワーを浴びてくつろいだ後、20キロ離れたギュムシュリュック村Gümüşlükへ夕食に出かけます。 ここは半島の西側に位置する村で、この先の島はもうギリシャ領です。エーゲ海に沈む美しい夕日が有名で、『トルコで見るべき名所101』というガイドブッ クにも載っています。
村のシーフードレストランでは海に面したテラス席に着きました。お店のウィンドウに並ぶ魚を選び、調理法を指定します。潮風に吹かれて夕日を眺めながら、 よく冷えた白ワインでちょっと贅沢なディナーです。日が落ちた海辺は少し肌寒いくらい。昼間の暑さが嘘のようです。
食後はボドルムに戻って繁華街を散策。狭い路地の両側にブティックやお土産物屋がびっしり並んで、リゾート客がそぞろ歩きを楽しんでいます。すでに夜の 10時近くでしたが、まだまだこれから夜中にかけてにぎわうとか。街にはディスコやクラブもたくさんありますが、連日の観光でちょっとくたびれたわたした ちは夜遊びなし。ホテルに戻ってゆっくり休みました。〈2012.3.3.〉


  6日目:ボドルムからケコヴァ島近くのカレ村(シメナ)へ・カレ村泊  


アズマック川の向こうにエーゲ 海が


ギョコヴァの太鼓橋


山側の風景

エーゲ海を見下ろすホテルのテラスで朝食後、ムーラMuğlaを通過して南下します。途中ギョコヴァGökova(アクヤカAkyaka)に寄って涼しげ な川にかかる橋から景色を楽しみます。ここは風光明媚な保養地。アズマック川Azmak Deresi のすぐ先はもう海です。とはいえ山も後ろに迫っているため緑が多く、京都の川床のように流れの上にテーブルをしつらえて食事ができる店もあるそうです。


フェティエの魚市場


こんな顔ぶれが並んでいます


市場内のレストラン


さっき購入した魚のその後

その後フェティエFethiyeの街まで約100キロ、ワゴン車を走らせます。フェティエは大きな港町、このあたりからエーゲ海ではなく地中海になりま す。町なかにある魚市場で昼食です。この市場は敷地内にレストランが並び、市場で買った魚を持ち込んで調理してもらいます。さすがにイスタンブールでは見 たことがないような魚もたくさん。緑の木陰のテーブルで新鮮な焼き魚を堪能します。イカ焼きや海老の鬼殻焼きも美味。


サクルケント渓谷


涼しい渓流


移動マーケット


衣料雑貨も

食後はさらに南東に進み、幹線から離れて田舎道を走ります。サクルケント渓谷 Saklıkent Kanyonはエシェン川Eşen Cayıの奥にある深く切り立った渓谷で、夏場は渓流歩きやラフティングができ、隠れた避暑地になっています。渓谷の入口にはお土産物屋が並び、木の上に 作ったコテージなども見えます。渓谷の途中まで足場のしっかりした歩道が整備されているので、そこを通って渓流に降ります。流れが速くとても冷たい水で、 足がしびれそう。
ここから車で山道を抜けると、世界遺産のクサントスXanthosはすぐ近くで す。クサントスに行く途中の村で移動市場を発見。さっそく車を降りて様子を 見てみます。移動市場はトラックに荷物を積み、あちこちに移動するマーケット。この村で見たものはかなり規模が大きく、八百屋や果物屋の他に、大きなテン トを張って衣料品や雑貨なども並んでいます。


クサントス遺跡


パタラの海岸

クサントスはリキア時代の遺跡で、家型の石棺が7メートルほどの柱の上に乗っているというのが特徴です。イスタンブルの考古学博物館にもこうした石棺が展 示されています。ここはかなり広い遺跡で、野外劇場やさまざまな神殿跡も残っています。
ここから海沿いの遺跡パタラPataraにも寄ってみました。クサントスと同じ リキアの遺跡で、アポロン神殿が有名です。遺跡から10分ほど歩くときれい な浜辺に出ます。実は地中海沿岸は意外と砂浜が少ないのですが、ここは海亀の産卵地になるほど自然が残っていて、美しい砂浜が何キロも続いています。

もうだいぶ日が傾いてきました。パタラから幹線に戻って海岸沿いの道を走り、カシュKaşという小さな港町で途中下車です。カシュは隠れリゾートの町で、 静かに夏を過ごすのにぴったりの場所。ボドルムやアンタルヤといった派手でにぎやかなリゾートではなく、落ち着いてのんびりしたい人たちに人気があり、自 炊ができる長期滞在用ペンションなどもあります。
今夜から2連泊するカレ村Kaleköy (シメナSimena)には日用雑貨を売るお店がないので、ここで虫除けスプレーや薬、煙草など必要なものを調達します。日が暮れるころウチャウズ Üçağızの町に到着。ここからカレ村へは車の入れる道がないため、ボートで行きます。小さなボートに荷物を積んで、オスマンさんとはしばしお別れ。ワ ゴン車と彼はウチャウズに残ります。


カシュの港


このボートでカレ村へ

ボートに乗って10分足らずでカレ村に到着。ペンションのすぐ前の桟橋にボートを停めてお部屋に入ります。この村は丘の急斜面に張り付くように家が建って いて、家と家とのあいだには狭い小道しかありません。ペンションはバンガローのようです。何だか「地中海の秘境」という雰囲気濃厚。
涼しい潮風が吹き抜けるペンションのテラスで遅めの夕食。澄んだ夜空に満月が煌々と輝いています。今夜は中秋の名月。日中は灼熱の太陽が照りつけ、中秋と 言うには暑すぎる1日でした。ボドルムからウチャウズまでは主要道路を行くと約368キロ。でも途中で幹線をそれて山道を走ったり寄り道をしたので、実際 には400キロ近く走ったかもしれません。〈2012.3.3.〉


  7日目:終日ケコヴァ・クルーズ・カレ村泊  


夜明けの海


クルーズのボート


カレ村のペンション前から出発


船長さん

夜明け前に目が覚めてしまったので、桟橋まで降りて景色を眺めていました。目の前の海は鏡のように静かでおだやかです。少しずつあたりが明るくなり、ケコ ヴァ島Kekova Adasıの向こうから太陽が昇ってきます。今日も抜けるような青空、絶好のクルージング日和になりそうです。
朝食を済ませたころ、わたしたちのボートが桟橋に到着しました。ボートの船長はムラトさん、乗務員は奥さんと小学生のお嬢さん、そして赤ちゃん。家族経営 のボートです。お姉ちゃんはかいがいしく妹の世話をしたりお客さんの相手をしたり、なかなかのしっかり者。


船内はこんな感じ


お嬢さんたち


ケコヴァ島の住居跡


ドボン

この貸し切りボートでケコヴァ島の水没した遺跡を見て回ったり、適当な場所に停泊してドボンと海に飛び込んだりして1日のんびり過ごします。ケコヴァ島は かつては陸地でしたが、地震で水没して島になりました。ビザンティンのころから無人島になり、島のあちこちに住居跡が残されています。ボートの底にはガラ ス張りの窓があり、そこから水中の遺跡も見られるようになっています。
遺跡の沈んでいる海域は遺跡保護のため遊泳禁止です。泳げるのはそれ以外の場所ですが、波がおだやかなので泳ぎやすいポイントがたくさんあります。紺碧の 海と空、泳ぐと体まで青く染まりそう。フズリさんもボートの飛び込み台から「背面ナントカ飛び(?)」を披露してくれました。


絶品ドルマ


こんな洞窟もあります


釣れるかな?


釣れました

昼食は奥さんが船のなかの小さな台所で作ります。ナスの冷製、紫キャベツや玉ねぎ、きゅうり、トマトの山盛りのサラダ、パプリカやトマトに米や挽肉などを 詰めて煮込んだドルマ、トマトソースのスパゲッティ、ヨーグルト。熱々の出来たてドルマは「おふくろの味」です。トルコ滞在中によく食べましたが、このと きのドルマは最高においしかった。
停泊して泳いでいると、モーターボートが近づいてきます。パラセイリングを体験してみませんかというお誘いで、さっそく挑戦する方がいらっしゃいました。 ボートから釣り糸を垂らしたり、トローリングをする方も。3匹ほど釣れましたが、「水がきれいすぎて魚がいない」そうです。スイカを食べたりデッキでお昼 寝したり、島まで泳ぎ着いて上陸したり、みなさん思い思いに1日を過ごします。


ウチャウズの桟橋


海から見たウチャウズ村


カレ村にあるリキアの石棺


夕暮れ

船は一度ウチャウズに寄るので、町で散歩や買い物もできます。町を歩いていたらオスマンさんに会いました。ふたたび船に乗ってお茶とお菓子をいただき、夕 方カレ村の桟橋に戻ってクルーズ終了。地中海を心ゆくまで堪能した1日でした。夜はペンションでピラフやサラダとシーフード、トルコ版「鯛の塩焼き定食」 といった趣です。村には車がないので、とても静かに夜が更けていきます。〈2012.3.3.〉


  8日目:ケコヴァからアンタルヤへ・アンタルヤ泊  
 

カレ村のおだやかな海


ウチャウズ港


オスマンさん大活躍


デムレの聖ニコラウス教会


聖ニコラウスの石棺


ミイラ遺跡

ペンションで朝食後、ふたたびボートに荷物を積んでウチャウズに戻ります。待ち構えていたワゴン車に荷物を移し替え、地中海沿いを東に走ってデムレ Demreへ。デムレではサンタクロースのモデルとなった聖ニコラウスの教会Aya Nikola Kilisesiやリキア時代の岩窟墓(ミイラ遺跡Myra)、ローマ時代の野外劇場などを見学、その後アンタルヤAntalyaをめざします。
ウチャウズからアンタルヤまでは約163キロ。地中海沿岸の美しい景色を楽しみながらドライブです。でもこのあたりは海岸線が複雑に入り組んでいるため カーブが多く、距離の割に時間がかかります。フズリさんはこのツアーのコースが決まってから、自分の車でイズミールからアンタルヤまで同じルートを走り、 だいたいの時間の目安や眺めのよいポイントなどをあらかじめ確認しておいたそうです。


ジューススタンド


ライムや柘榴も売っています


町のロカンタ


テーブルの上のどんぶりが ジャジュック


ケメルの町並み

幹線沿いのジューススタンドで一休み。オレンジやレモンなどの柑橘類は地中海地方の特産物です。絞りたてのフレッシュジュースで喉を潤し、ケメル Kemerという町の食堂で昼食。暑いときは冷たいヨーグルトに生野菜を刻んで入れた冷製スープのようなサラダ、ジャジュックcacıkがさわやかです。 ドライミントの粉がかかっています。
午後の一番暑い時刻にアンタルヤ着。地中海地方はエーゲ海地方よりも気温が高く、10月ごろまで海水浴ができます。当然夏はサウナ状態に。ホテルで少し休 んでから、街の散策に出かけます。小さな港を中心にかつて城壁で囲まれていた一画がアンタルヤの旧市街、カレイチKaleiçiです。道幅が狭く、一般の 車は入れません。ハドリアヌス門や旧港を見学、路地にあるお店で買い物など。街角には椰子やバナナの木が茂り、南国ムード満点です。オープンテラスになっ ている喫茶店チャイバフチェの中庭で涼んで、夕方ホテルに戻ります。


アンタルヤのカレイチ


こんな路地が続きます


旧港


涼しいチャイバフチェ

夕食はホテルのレストランで。レストランはリゾート客で混雑していますが、落ち着いて食事ができる席をフズリさんがあらかじめ用意しておいてくれました。 ブッフェスタイルの夕食はツアー始まって以来初めてです。好きなものが好きな分だけ食べられるというのもいいですね。〈2012.3.3.〉


  9日目:アンタルヤで終日リゾート・アンタルヤ泊  


地中海の日の出


ホテルの庭


客室棟


独立したコンドミニアム

朝食後アンタルヤの別のホテルへ移動します。昨晩泊まったところも海辺のリゾートホテルですが、今日はさらにゴルフ場があるホテルに泊まります。ゴルフ場 の予約その他はフズリさんが手配済み。ホテル間を移動する時間を考慮して、スタートの時間も交渉して変更してもらいました。
このホテルがまたとても広くてゴージャスなリゾートホテル。うっそうと緑が茂る敷地内にコンドミニアムもあります。外国人観光客が多いようです。


きれいな町並み


お土産何がいいかな?


タオルや寝具を売るお店で


前菜各種


毎度お馴染みキョフテ

チェックインしてからゴルフ組と散歩組に別れます。ゴルフをしないメンバーはホテルから少し離れた町に車で出かけ、お土産を買ったりお昼を食べたり。ホテ ルにはプライベートビーチやしゃれたプール、スパなどもあるので、午後は泳いだりマッサージなどでリラックス。終日思い思いにのんびり過ごします。


敷地内にいくつもあるプール


外海なので波は荒い感じです


海と並行して流れる川


黄昏の地中海


おしゃれなブッフェ

夜はホテルの庭でブッフェスタイルの食事をいただきます。料理の並ぶブースがレストランや庭のなかにいくつもあり、地元料理の他に本格的なフランス料理や イタリア料理なども。シェフが何人もいて、ひとつずつお皿に美しく盛りつけてくれます。どれを食べようか迷ってしまいました。〈2012.3.3.〉


  10日目:アンタルヤからカッパドキア・カッパドキアのペンション泊  
 

アンタルヤの長距離バスター ミナル入口


ターミナル内


バスに荷物を入れます


バスの座席


大きくて立派なバス

みなさんはかねてからのご希望で、アンタルヤから長距離バスでカッパドキアをめざします。ほぼ10時間の長丁場。フズリさんはこのツアーの日程が決まる前 に明日から別の仕事が入っていたため、今日中にイスタンブールに戻らなければなりません。残念ながらここでお別れです。でも、この後のカッパドキアはホテ ルやツアーガイド、バスターミナルからホテルの送迎など移動の車の手配もすべて整えてあるので問題ありません。
街はずれの大きなバスターミナルでみなさんをお見送りします。バスで移動中何かあったときのために、バス運転手の携帯電話を使わせてもらえるよう交渉しま す。もちろんフズリさんの方からも連絡できるように、運転手の携帯番号をチェック。ターミナル内にある売店で果物やお土産などを買って、いよいよ出発で す。楽しいカッパドキア滞在でありますように。〈2012.3.3.〉


  11日目:早朝気球ツアー、終日カッパドキア観光・カッパドキアのペンション泊  

  12日目:カッパドキアから飛行機でイスタンブール、トランジット後成田へ  


バザール前の広場


いろいろなナッツを味見でき ます

最終日の12日目、みなさんは朝の飛行機でカッパドキアからイスタンブールに戻り、夕方成田行きの便で帰国します。フズリさんはアンタルヤでみなさんを見 送ってから他のツアーの仕事でした。ところがカッパドキアのペンションでちょっとした行き違いがあったという話を聞いて心配したフズリさん、今日の仕事を 急遽友だちのガイドに頼み、トランジットの間みなさんと市内観光をご一緒することになりました。


イスタンブールの老舗ショッ ピングセンター


高級ブティックが並んでいま す


中華レストランで海苔巻き発 見

飛行機の待ち時間は6時間ですが、実際に使えるのは4時間足らず。空港の送迎と観光にはワゴン車を使います。またまたオスマンさん登場。車で旧市街のエジ プシャン・バザールに行って最後のお買い物、空港に戻る途中にある大型ショッピングセンターにも立ち寄ります。センターのなかの中華ブッフェで昼食。久し ぶりのお醤油がなつかしい味でした。


どうぞみなさまお気をつけて

午後2時過ぎ再び空港へ戻り、出国ゲートの前でお別れです。みなさまにたいへん親切にしていただき、行く先々で本当に貴重な経験がたくさんできました。ど れも忘れられないことばかりです。何だかお名残惜しい気持ちでいっぱいになってしまいました。みなさまにとって、このツアーが思い出に残る楽しい旅行であ りましたら嬉しく思います。どうもありがとうございました。〈2012.3.3.〉